それぞれのクリスマス〜東方編〜
クリスマスって家の中が華やかになるよな
「お兄ちゃん、これ一番上につけて〜」
「あぁいいぞ…ここでいいのか?」
ソファでテレビを見ていると、妹が星を持ってきて俺に渡した
うちのクリスマスツリーはでかい。豪邸とかじゃないんだからこんなにでかくなくても、って思うくらいでかい
俺が手を伸ばさないと一番上まで届かないくらいだしな…
「雅美〜、ちょっと手伝ってくれない?」
「いいよ何すればいい?」
台所から母さんに呼ばれて俺は腕まくりをして台所に向かう
昨日はテニス部のメンバーとクリスマスパーティだった。イブの日はこうやって家族サービスもいいだろう…こんなこと言うから南たちに「親父臭い」って言われるのかな
「お兄ちゃんこっち手伝って」
「待てよ、母さんの用事が先だろ」
こういう時だけやたらに頼りにされる俺、普段は掃除の邪魔だとかでかいからいるだけで邪魔とか言われるのは悲しいところ
「雅美、大晦日も家にいるわよね」
生クリームの泡立てを手伝っていると母さんは嬉しそうに確認してきた
そういえば大掃除の時もやたらに使われるんだよな…
「今年はちゃんと手伝うよ」
来年はどうなるかわからないけどな。それに、南たちとも初詣行かないとだしなぁ
「彼女いないくせに〜」
ツリーの飾りつけをしていた妹がこっちに来て笑う。笑顔で言って来るけど、結構傷つくんだぞ
「友達や彼女も大切なのはわかるけど、もう少しは家族と過ごしてほしいわよね」
「わかってるよ、できるだけ家にはいる」
寂しそうな母さんに苦笑いで答えるしかできない
「お兄ちゃんの前に私が彼氏作っちゃうもんね。千石さんとかカッコイイよねー」
それだけは許さん!
っていうか千石は南にベタ惚れだから無理だろ
「あ、お兄ちゃんの携帯光ってるよ」
真実は言えないけど本気ならそのうち慰めることになるんだろうな
そんなことを考えながら携帯を開くと、当の千石からだった
「千石からだ…」
「何てなんて?私にも見せて〜」
「人の携帯を見るんじゃない…雪が降ってるらしいぞ」
「本当に?うわぁ、ホワイトクリスマスだね!」
画面を見られないように隠しながら雪の事を伝えると、携帯のことはもういいのか窓の外を見て喜んでる
こんな内容見せられないよな
俺は携帯の画面をコッソリと見て閉じた
『Merry Christmas東方!
雪が本当に降った!!俺と南の愛の結晶だよ、なーんてね』
終了